この記事について
決算跨ぎチャレンジを始めて最初の1週間(10/26〜10/29発表分)は、★4〜5の終値での成績が6勝15敗と大きく負け越しました。好決算でも株価が上がらない銘柄が目立ち、「日経平均の地合いが悪いせいで、決算の評価が正しくできていないのでは」と感じたのが今回の見直しのきっかけです。
この記事では、次の3つを記録します。
- 地合いの影響を除いて評価し直すと、成績はどう変わるか
- 先週の外れの本当の原因はどこにあったか
- それを受けて、★の採点ルールをどう変えたか
地合いを除いて評価し直す方法
株価の値動きから地合いの影響を除く方法として、株式の研究で一般的に使われている「イベントスタディ」の考え方を使いました。具体的には「マーケットモデルによる超過リターン」です。
- 各銘柄の日々の値動きが、日経平均の値動きにどれくらい連動するか(β)を、決算の約半年前〜2週間前の120営業日で計算する
- 決算翌日の実際の騰落率から、「日経平均の動きから期待される分」を差し引いた残りを超過リターンとする
- 超過リターンがプラスなら、株価が下がっていても「決算そのものは好感された」と考える
比較する指数は、TOPIXや業種別の指数も考えましたが、誰が見ても分かりやすい日経平均にしました。判定ルール(±1.0%未満は横ばい)は今までと同じです。
再評価の結果:的中率はほとんど変わらない
先週の31銘柄(★3を除く)を、実際の騰落率と超過リターンで比べた結果です。横ばいを除いた的中率で比べています。
| 寄り付き:実際 → 超過リターン | 終値:実際 → 超過リターン | |
|---|---|---|
| ★4〜5(跨ぐ)21銘柄 | 6勝13敗(32%)→ 5勝13敗(28%) | 6勝15敗(29%)→ 6勝14敗(30%) |
| ★2(跨がない)10銘柄 | 的中5・外れ1 → 的中6・外れ1 | 的中6・外れ2 → 的中8・外れ2 |
判定が変わったのは4銘柄だけで、どれも値動きが小さいものでした。
計算したβを見ると、半導体関連は日経平均との連動がはっきり強く(アドバンテスト約2.0、ルネサス約1.5、MARUWA・ソシオネクスト約1.4)、ゲームや食品などはほぼ連動していませんでした。「半導体・AI関連ほど地合いの影響を受ける」という実感は、数字でも確認できました。
それでも的中率が変わらなかったのは、この週の日経平均が4日のうち3日上昇していたためです。地合いはむしろ追い風で、外れた銘柄の多くは−5%〜−20%と、地合いでは説明できない大きさで下げていました。
外れの原因を分類すると
超過リターンでも外れだった銘柄を、結果記事のコメントをもとに分類しました。
| 原因 | 銘柄 | 数 |
|---|---|---|
| 上方修正は出たが、期待(コンセンサス)に届かない・織り込み済み | 日立、富士電機、アンリツ、コマツ、JT、東京エレクトロン デバイス、日本車輌製造 | 7 |
| 業績そのものが悪かった | 富士通、FPG、日東電工、日本高純度化学、シンプレクス・HD | 5 |
| 需給の重さ(信用買い残) | テセック | 1 |
| 理由が確認できない | 山洋電気、豊田通商 | 2 |
| ★2で上方修正を読めなかった | MARUWA、オービック | 2 |
一番多かったのは、「上方修正が出る」という予想自体は当たったのに売られたケースです。日立は会社予想よりコンセンサスが約5%高い中で修正幅が2%、アンリツはコンセンサスとの差が約12%に対して修正は7%でした。「2Qで上方修正するクセ」は市場の参加者も知っているので、それだけでは買い材料にならない、ということです。
もう一つ反省点として、外れた銘柄の半分ほどは、外れの原因になったリスク(コンセンサスとの差、信用倍率の高さ、過去の売られ方)をレポートに書いていながら★4〜5を付けていました。分析の材料はそろっていたのに、★の付け方がプラス材料を重く見すぎていました。
一方で、「3Qの翌日は毎年下がる」「好決算でも出尽くしで売られる」といった過去の値動きのクセは、ルネサス・キヤノン・カプコンなどでよく当たっていました。
★の採点ルールの改定(11/2発表分から)
5項目を+1/0/−1で採点し、★=3+合計(1〜5)とする仕組みは変えません。各項目の採点基準を、株価の上げ下げではなく「事実」を根拠にする形に改めました。
1. 決算パターン
- 過去5年の同じ四半期で、決算翌日に4回以上上昇なら+1、4回以上下落なら−1、それ以外は0
過去の事実をそのまま使う項目なので、基準を明文化しただけです。
2. 通期修正の可能性
- +1の条件を「上方修正が出そう」から「コンセンサスを超える修正が出そう」に変更
- 根拠は、月次など会社がすでに開示している情報ではなく、業界統計や関連製品の売れ行き、主要顧客の決算などの周辺情報から推察する(開示済みの情報は株価に織り込まれているため)
- 周辺情報から下振れ、またはコンセンサスに届かない修正が推察できれば−1
一番の予測ポイントで、一番難しい項目です。見るべき周辺情報はセクターごとに先に決めておき(半導体装置なら製造装置の販売高、工作機械なら受注統計、海運なら運賃市況など)、後付けで根拠を探さないようにします。
3. 前回決算以降の値動き
- 前回決算以降に業績の情報がすでに出ている(月次で業績の流れが確実になっている、決算前に上方修正を発表済みなど)なら−1、それ以外は0
「1Qから株価が上がっているから、もう上がらない」という単純な見方はやめ、何の情報が出ているかで判断します。+1は付けません。
4. バリュエーション(需給)
- 信用倍率を、その銘柄の過去1か月の平均と比べて、30%以上高ければ−1、30%以上低ければ+1、それ以外は0
信用倍率の水準は銘柄ごとにクセがあるので、「10倍以上なら重い」のような一律の基準はやめました。PERなどの割安・割高はコメントにとどめ、採点には使いません。
5. 業界・関連銘柄
- 建設や海運のように、先に決算を出した同業の影響を受けやすいセクターは、その結果で採点する
- 富士通・NEC・日立のように事業が多岐にわたる会社は、分野ごとに同じ事業の会社とだけ比べる。比べられなければ0
★4・5は控えめに
決算跨ぎはそもそも難しく、リスクもあります。★4・5は毎日出るものではないと考え、根拠がそろわない項目は0にして控えめに付けます。各項目の重みづけは、データがたまるまでは入れません。
今後の検証
今週(11/2発表分〜)はこの新しいルールで運用し、週末に旧ルールの週と★の付き方・的中率を比べる予定です。まだ1週間・31銘柄の結果からの見直しなので、ルールが本当に良くなったかどうかは、外れた週も含めて記録を続けて確かめていきます。
※超過リターンの計算に使った株価・日経平均はYahoo!ファイナンスの日次データです。
本記事は分析方法の見直しの記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
